>消防吏員をめざす皆さんへ最終更新2000/02/10

 東京消防庁の現役職員さんから消防官を目指す皆さんへの書き込みを、許可を得て 転載いたしました。(若干、文に訂正を入れてあります)

1:皆さんへ
 私は3年ほど前の東京消防庁の消防吏員採用試験(I類、II類)に合格した者です。  他の消防本部はわからないのですが東京消防庁の採用試験に関しては参考になる アドバイスがある程度できると思いますので参考にしていただければ幸いです。  なお、ここに書いていることは採用説明会で東京消防庁の人事の人が言っていた ことと私の体験を踏まえて書いているのでかなり参考になる情報だと思います。  東京消防庁の消防吏員の採用試験は1次試験は一般教養的な問題 (50問マークシート)と、小論文に分かれます。   I 一般教養問題の対策について  前述のようにマークシート50問です。はっきりいって、ものすごく範囲が広い。 つまり、あらゆる範囲から広く浅く出題されるのです。例えば日本史、世界史、 地理、物理、化学、生物等の分野から1問ずつといったように。そしてレベルも 決して低くない。5つの選択肢から3〜4つの選択肢を消すにははっきりいって 大学受験レベルの知識が必要です。これにすべて正解を求めようとすればかなりの 努力が必要になります。はっきりいって捨てるのがいいと思います。ではどうしたら いいか。「出題数の多い分野にしぼって勉強する。」これになると思います。 出題数の多い分野とは 判断推理 数的推理 資料解釈 文章理解 といわれる ものです。この4分野でおそらく25問ぐらい出題されるんじゃないかな? まあ資料解釈(グラフや表をみてわかることは何か?みたいな問題。当然5択)と 文章理解(主人公の気持ちはどれか?みたいな問題)は試験会場でがんばれば なんとかなります。しかし判断推理 数的推理に関しては絶対に事前準備が必要です。 公務員試験としてはそれほどレベルが高くないので国家III種、地方初級あたり向けの 判断推理 数的推理の問題集を数百問解くようにすればいいと思います。このような 問題が解ける人というのは頭がいいのではなく問題の解法のパターンを知っている から解く事ができるのです。とにかく問題数をこなして解き方を覚えることです。  しかし、知識分野の勉強をしないで試験にのぞむのはどうしても不安だという人は 中学の時にやった公民といわれる分野、もしくは高校の時の現代社会といわれる 分野の勉強をすすめます。この分野は比較的出題数が多い。これも国家III種、 地方初級レベルの参考書、問題集でいいと思います。基本からやりたいと思うのなら 中学生向けの本でもいいと思います。  つまり   1) 出題数の多い分野にしぼって勉強する(数的推理 判断推理)。    少ない分野は捨てる。 2) 公務員試験としての問題のレベルはそれほど高くない。国家III種、地方初級の    問題集で十分。そして、数的推理 判断推理に関しては問題の解法のパターン    を覚える。 3) 知識分野を捨てるのが怖い人は公民 現代社会といわれた分野の勉強をする。    国家III種 地方初級の本でいい。  ということです。 II 小論文の対策について  これは採用説明会の時に東京消防庁の人事の人が言っていたのだけど採用試験の 配点はマークシート50問で100点、小論文で100点 ということです。 また、「論文としての最低限の形式を守っているものは大変少ない。どんなに いいことが書いてあっても序論、本論、結論といった論文の形式を踏襲していない ものには点数をあげられない」とのことでした。逆にいえば、論文としての最低限の 形式を踏まえていればまわりの人にかなりの差をつけられるということです。  ほとんどの人は小論文なんて「勉強のしようがない」とか「いざ会場にいけば なんとかなる」とか思っているのではないでしょうか?しかし限られた時間で 論文をまとめあげるには絶対に練習は不可欠です。本番と同じ条件で(90分 1200字だったかな?忘れました)とにかく自分で書いてみることが必要だと 思います。  つまり  1) 採用試験において小論文の配点は非常に高い。  2) 論文としての最低限の形式を守っている論文は非常に少ない。逆に言えば     自分がそのことを踏まえればまわりに差をつけるチャンスである。  3) 限られた時間で論文をまとめあげるのは大変に困難な作業である。     練習は不可欠。  ということです。  最後に  私は現在東京消防庁の某消防署で機関勤務をしています。あんまり人には 話さないけど、自分の仕事が大好きでものすごく誇りに思っています。私は 自信を持って今の仕事をすすめます。生きていくにあたって「今やらないで いつやるんだ」という節目は何回か訪れるものだと思います。Aさんをはじめ 消防吏員になりたい という自分の希望がはっきりした人にとって今が その時期だと思います。私もその情熱で30倍前後の競争率を突破しました。 一生懸命になれば人間たいていのことは可能になるものだと信じています。 健闘をお祈り致します。
2:東京消防庁の採用試験に関するご質問について  小論文の具体的な設問について   私が試験のときの小論文の設問についてははっきり言って忘れました。すみません。   過去問を見れば前年の題目の情報は手に入るはずです。   私が受験した時の過去問として練習していたのが(自分で想定した題目もある)   「阪神大震災の教訓について」   「消防官として都民に求められること」   「私の職業観」   「社会人として必要なこと」   「ボランティア活動について」   「21世紀にむけての消防に対する提言」など   どういうことか試験本番の題目を忘れ、自分で想定した題目ばかり思い出して  しまいましたが、概ねこんな感じだと思います。   ひとつ、誤解してはいけないのが論文の練習の目的は「ヤマをかける」ために  あるので はなく「時間内に形式を踏まえた論文をまとめる能力を養成する」  ためにあるのだと思い ます。本番、過去問を通して意地悪な題目はなかった  ように記憶しています。ありがちな 題を自分で設定してとにかく書いてみて  ください。自分なりのパターンができてくるはずです。    適正検査について   普通の心理テストのような質問に答える形式のものだったように記憶しています。 (マークシート)従って事前準備の要はないと思われます。  体力試験について   あくまでも、私の予想なのですが採用試験の体力の審査については「選抜」に  あるのでは なく「足きり」にあるような気がします。つまり、あまりにも  体力がない人、体の動きに欠 陥のある人、を落とす試験のように思われます。 (まあ私自身、体力的にはそこそこ自信があったので言えるのかもしれないけど。)   それを証拠に消防学校入校時、まるっきり体力のないひともいました。   具体的な試験の方法は確か普通に行われるスポーツテスト的なものと四肢関節が  正常に動 くかどうかのテスト(体に障害がなければまず大丈夫)でした。   その中で一番きついと思われるものは腕立て伏せだったと思います。「1」の  声で腕を曲 げ、「2」の声で腕を伸ばすというものを20回程度繰り返し  最後の一回は10秒程度腕を曲げたままで体を保持し腕を伸ばすというもの。  これができない人はチェックされていました。   あと10分間ジョギング程度のペースで走り脈拍を測定するテストもあったので  10分程 度は走れないとまずいでしょう。   これは採用試験うんぬんではないのだけど、やはり消防吏員としてはある程度の  体力は必 要です。あのくそ重い呼吸器をしょって防火衣を着て現場で活動を  しなくてはならないのですから。吏員を目指すのなら少なくとも普通の人より  体力が劣るというのは困ると思います。  (実をいうと現役の消防吏員でも体力のない人はいっぱいいる。)  まあ消防学校でそこそこ鍛えられるけどね。  最後に   なんか採用試験の対策なんかを書いてると「消防で仕事をしたい」と情熱を  燃やしてた ころを思い出します。Aさんとかもその時期なんでしょうね。   結構楽しんで書いていますので、これからも質問等あれば書いといといてください。  >ebara71さんへ   自分の拙い文章でよければどんどん使ってください。光栄の限りです。
3:東京消防庁の採用試験の面接について  面接は一人(受験者)対三人(試験官)で行います。  私が聞かれたのは  項目1 ここまでどのようにして来ましたか?  項目2 なぜ消防官になりたかったのですか?  項目3 消防に入って何がしたいのですか?  項目4 この試験に落ちたときはどうしますか?  項目5 サリン事件や阪神大震災をみてどう思いましたか?  項目6 学生の時は何をしていましたか?  項目7 自己アピールをしてください。  項目8 一次試験の結果はどうでしたか?  記憶にあるのはこれぐらいです。総じていえることはあまり意地悪な質問はない。  普通のことをきちんと答えられるかどうかのテストだと思います。  (項目1なんか特に) 志望の理由なんてのはほぼ100%聞かれる  でしょう。上に書いた項目ぐらいは練習したほうがいいと思います。  でも結局は質問が枝分かれしてきて臨機応変に対応していくしかないんだけれども。  (以下は参考程度に)  これは東京消防庁の面接に限ったことではないのだけど、  「自信をもった謙虚な態度」  これが面接においてもっとも必要な要素なんじゃないかな。自信がなさそうで はっきりしない態度もよくないし、えらそうな態度もよくない。  わからないことをきかれたら「あ〜 すみません わかりません」で下を向いて しまうのではなく、自信をもった態度で試験官のネクタイあたりを見て 「すみません。わかりません。勉強しておきます。」と言ったほうがいいと思います。 あんまりえらそうな態度だと過信とみられるかもしれないけど。  とりあえず前期の8つの質問に答える練習をしてみて自分の言っていること、 言い方が 「自信をもった謙虚な態度」 であることをめざせばいいのではないかと思います。  この辺のところはかなり個人的な感覚が入ってきていますけど。  まあ最後は情熱だよね。わっしょいさんとかはそちらのほうの心配はないですね。  採用試験対策の補足  1) 東京消防庁の採用試験説明会は絶対に参加すること。       なんたって、人事の採用試験係のひとが説明するのだから、有益な情報が   いっぱいのはずです。    説明の最後には絶対に質問する機会がもうけられるはずですから、質問の   内容を考えておいてどんどん質問したほうがいいでしょう。  2) 警視庁の採用試験を受験する    警視庁の採用試験は消防の試験と通ずる部分が多数あります。受験料は   かからないのですから練習の意味で受験するのをお勧めします。   私は落ちましたけど、いい経験になりました。

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